運動

フリーウェイトとマシントレーニングの違い

近年のフィットネスブームの到来により、私の身近にもジムが急増しています。

多くのジムの大半のスペースを占めているのは、有酸素運動系のトレッドミルと、エアロバイク。説明を一度受けるだけで簡単に扱うことのできる”マシントレーニング”が主流ではないでしょうか。

その傍らにダンベルや、バーベルといった”フリーウェイト”コーナーがあるといった配置が多く見られます。

ジムへ通った方なら一度は疑問を抱いたことがあるかもしれません。

「”フリーウェイト”と”マシントレーニング”は何が違うんだろう?」

今回はそんな疑問について考えていきます。

フリーウェイトとマシンの違い

では、”マシントレーニング”と”フリーウェイトトレーニング”の二点の特徴を良い面と悪い面で考えてみましょう。

マシントレーニングの特徴

マシンの利点

  • 初心者でも扱いやすい
  • フォームの再現性が高い
  • 安全性が高くケガをしにくい

マシントレーニングの利点としては、一度教われば初心者でも誰でも扱いやすいのが特徴です。現在流行しているジムでは人件費を抑えるため、マシン主流の施設が増えているように感じます。人件費を抑えられれば、施設利用費も安く提供できるため、利用者にとっても利益がありますね。

また、椅子に座ったり、背もたれがあったり、身体の安定性に優れているのでトレーニング毎でのフォームの再現性が高いと言えます。

その安定性が高いという特徴は、そのまま安全性にも直結し、ケガを負うリスクも低いと言えるでしょう。

マシンの欠点

  • 一つのマシン(種目)で鍛えられる筋が少ない
  • 数多くの筋を鍛えようとすると時間がかかる
  • セルフトレーニングの応用が利かない
  • 複合運動や、”*協調運動 ”の学習には不向き

マシントレーニングでは、基本的に1つの、あるいは少数の筋しか同時には使われません。これは欠点でもあり、1つの筋に着目したい場合には利点にもなり得ます。

しかし、その特性上、マシンだけで全身を鍛えようとする場合には数多くのマシン(種目)と時間がかかることにもなります。

このようなマシンはとても家庭では揃えることはできないのでしょう。マシンの使い方に関しても、フォームが安定しやすい利点とは裏腹に、運動の軌道が基本的に1パターンであるせいで、筋の使い方や、”*協調運動 ”の学習には不向きかもしれません。すなわち、ジム以外でのセルフトレーニングへの応用は難しいかもしれません。

*協調運動とは諸種の別々の動作を1つにまとめる運動を指します。

例えば、”縄跳びは手で縄を回しながら、タイミング良くジャンプする”高度な協調運動です。

フリーウェイトレーニングの特徴

フリーウェイトとは、ダンベルや、バーベルを使ったウェイトトレーニングのことを指します。

フリーウェイトの利点

  • 自由度が高く、少ない道具でも全身のトレーニングができる
  • セルフトレーニングの応用が利く
  • 1つの運動(種目)で数多くの筋が鍛えられる
  • 不安定であるが故に筋の動員数が多い
  • 複合運動や、”協調運動”の学習に効果的

運動の自由度が高く、マシンに比べて少ない道具、少ないスペースでトレーニングが可能です。

そのため、ダンベルを自宅に持っていれば、上半身から体幹・下半身と全身に応用することもできるので、自宅でのセルフトレーニングにも移行しやすいと言えます。

大きな特徴として、1つの運動(種目)で数多くの種類の筋が参加・動員されています。

”BIG3”という言葉を耳にしたことのある方もいるかもしれませんが、これは、”ベンチプレス・スクワット・デッドリフト”という三種類の種目を行うことでほぼ全身の筋活動が得られるため、トレーニング初心者から上級者までが積極的に取り入れたい運動として用いられています。

たった3種類の種目だけでほぼ全身が鍛えられるということは、たくさんの筋が参加・動員していることに他なりません。運動は、基本的に不安定であればあるほど筋の動員数(使われる数)が増加します。

例えば、ダンベルを片手に持って、上腕二頭筋(力こぶの筋)の力で肘を屈曲(曲げる)する運動があります。この時、椅子に座り、肘を土台に置いた場合は、フリーになっているのは肘から手先にかけてだけであり、肘から上の部位では固定されて安定しています。この状態ではほぼ”肘を曲げる”という動作だけに筋が動員されます。

反対に立位で肘を土台に置かずに同じように”肘を曲げる”運動を行ってみたらどうなるでしょうか。土台がないので先ほどのように腕だけの筋の動員では、肩が下に下がり、上半身は前方に倒れるでしょう。さらに立っていなければならないので同時に地に着いた足で踏ん張る必要もあります。このように支えがすくない状態、すなわち、”不安定な状態”では、”腕を曲げる”ために使う筋以外にも、姿勢が崩れないように制御に働く筋が多く動員されることになります。

筋を肥大させたり、筋出力を上げたり、運動パフォーマンス向上には筋の同時に参加する動員数が多い方が発達に有利と言われています。

つまり、運動負荷を上げるとは、ただ”重量を重くする”だけではなく、”不安定な状態(姿勢)を作る”ことでも難易度を高くし、負荷を上げるということになります。

これは先ほどの項で述べた”協調運動”の学習にも有効となります。より難しい経験と負荷を神経や筋に与えてあげることで発達が得られ、スポーツ活動といった高度な運動パターンの教育にもなるでしょう。

このように不安定な状態を作り出し、筋や神経の動員を促し、姿勢を制御する運動を”モーターコントロール”とも呼ばれています。工夫次第で自重だも数多くの運動パターンを作ることができるため注目されてきています。腰痛治療や関節のスタビリティ(安定性)向上のために医療現場でも使われ始めています。

フリーウェイトの欠点

  • 自由度が高すぎて使い方がわからない
  • 運動のフォームを習得しにくい
  • 不安定であるため、ケガのリスクがある

欠点としては、自由度が高すぎるが故にどうやって使ったらよいのかわからない。

トレーナーや専門家に教わったとしても、フォームが前回と変わってしまった、なんてことも頻繁に見受けられ、習熟に時間と理解が必要になります。

また、取り扱いも重量のセッティングや、運動中もマシンとは違い、急に力を緩めたりすれば、ケガのリスクは無いとは言えません。

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どちらがより優れているのか

このような欠点から、日本にはフリーウェイト否定派が未だ存在しています。使い方を理解せずに、あるいは間違った使い方では悪い結果を招くのは、どんな優れた道具でも同じことのはずです。なんとかとハサミは使いようです。

”馬鹿と鋏は使いよう”という言葉がありますが、これは、能力のない者をバカにして言った言葉ではなく、”使う側”の力量や能力を言った言葉である。

どちらが優れているとは言いきれませんね。目的や、使う人、教える人、環境など様々な要素が関与してきますからね。

ただ、”女性だから”や”高齢者だから”といった固定観念で運動の幅を狭めてしまうのは良くないかと思います。

教える側はその方の能力にあった、最大限の効果を期待できる内容をプレゼンする必要があるでしょう。

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