EBM(根拠に基づいた医療)から腰痛治療を考えると、
慢性腰痛に対して医師が最も頻繁に処方する薬物療法は、抗うつ剤の有効性が証明されているのみであり、鎮痛剤や抗炎症剤は効果が証明されていない。
厚生労働省の平成15年度ガイドラインによると、神経ブロックが急性腰痛の疼痛軽減に有効であることは認められたが、鎮痛剤や腰椎牽引の有効性を示すことはできなかった。
手術についても、低侵襲の鏡視下手術が従来法より優れているとはいえず、レーザー治療も安全で優れた方法とはいえない。
間歇牽引(機械牽引)の効果は認められていないばかりか、かえって関節の不安定性を増大(悪化)させることが指摘されている。
高度な運動療法が簡易な運動に比べて優れているとはいえない。

腰痛の85%は原因不明

医師の診察および画像の検査(X線やMRIなど)で腰痛の原因が特定できるものを特異的腰痛、厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛と呼びます。
この”原因が特定できない腰痛”はなんと85%になります。
つまり、ほとんどわからない物に対して治療薬が処方されているということです…。
痛み止めと湿布という処方を良く耳にしますが、上の項で述べたように鎮痛剤は急性・慢性腰痛ともに効果がありません。
しかし、この数字というのも特に腰痛で病院を受診した場合、現在の特に日本の整形外科では、”画像検査しか”行っていない病院も珍しくありません。
すなわち、15%は画像検査で所見が発見できるが、それ以外は不明としているということです。
そして、画像で所見が発見され、診断名がついたケースであっても、本人の訴えている痛みと、画像で発見された所見とが一致しているとは限らないのです。なので、実際には診断が適中する割合はもっと低いといえます。
整形外科が混雑しているわけ
大きな総合病院でも、小規模の個人クリニックでも整形外科の外来には長蛇の列がついているのが一般的です。それはなぜでしょう。
整形外科領域で使われている医療費は全体の60%を占めているようです。腰痛が占める割合も当然多いでしょう。
つまり、そこの病院の評判や、医師の腕前が優秀という以前に、圧倒的に他の科目よりも利用者が多いということです。
そして、高齢者では、一生通い続けるからというのも理由に挙げられるでしょう…。
高齢者に多い腰痛原因で挙げられるのは「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」です。
しかし、この疾患は病気というよりは、老化による組織の退行変性が原因となります。退行変性とは例えるならば、老化により顔にシワがよるのと同じ現象です。つまり、若返ることはできないので完全に治すといった表現もできませんし、手術も効果がないと言われています。
そもそも、仮に手術で治るのなら病院はガラガラになっているかもしれませんね。
ちなみに、60歳以上で腰椎の画像検査をすると、もれなく脊柱管狭窄症の診断名がプレゼントされることでしょう。それくらい極自然の現象なのです。
このような状態の方が増えればどうなるでしょうか?
整形外科が混雑するのは必然と言えますね。
そして、先の項でも述べましたが、この画像所見でついた診断名と、本人の訴える痛みとは関係がない場合も多くみられるのです。
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医療機関で行われている治療
神経ブロック注射
急性期の疼痛軽減に対しての効果は有りですが、効果はあくまで急性期に限られたものです。
しかし、「また、来月来てください」というように、定期的に注射を行っている施設も存在します。
私の診ていた慢性腰痛の利用者の中にも、月1回のブロック注射を行っていた人は大勢いました。
私はそんな方たちに良く「効果は感じられますか?」と尋ねてみます。すると、大抵のケースでは「1日か2日くらいは痛みが引いた気がする」という回答が返ってきます。
これは”プラシーボ効果”、あるいは”注射の痛みで元々あった痛みが感じられにくくなった”という場合が考えられます。
プラシーボ効果とは、この注射はきっと効果があるに違いないという思い込みからなるメンタル要素が強いです。
後者の元々あった痛みがかき消されるという現象は、”ゲートコントロール理論”とも呼ばれます。複数の痛み刺激がある場合、同時に脳で捉えることができないのです。別の刺激での上書きと言い換えることができます。
つまり、”注射針を指した痛み”の方が「ジンジン」していて、”腰痛”が一時的に感じなくなったということです。この理屈だと注射針の痛みが治まれば、腰痛は再び現れるということになります。
もしかしたら、薬剤を流し込まなくても似たような効果が得られるかもしれませんね(-_-;)
これは例えば、お腹が痛い時に手でさすっていると痛みが引いていく理屈と同じと考えてください。この場合は、痛みの感覚信号を、触圧の感覚信号で上書きされたということになります。
また、関節に挿入する注射は高頻度で行われると関節炎となり、拘縮(関節が固まる)や、更なる痛みの悪化に繋がります。
増収の目的に2週間おきに関節への注射を施しているモラルの低下したケースも存在しています。
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抗うつ剤

鎮痛剤、抗炎症剤
効果は証明されていません。
ですが、山ほどの湿布と痛み止めが現在でも処方され続けています。
効果がない薬のためにたくさんの医療費、税金が使われているという現実を知ると悲しくなってしまいます…。
しかし、これは医療関係者だけが悪いわけでもないんですよね。
治療や診察を受ける側、つまり患者側の問題でもあります。
例えば、「あなたの症状には鎮痛剤や湿布は全く効果がないのでお薬はだせません」と医師が言った場合、「あの先生は湿布も薬も出してくれなかった!ひどい人!周りに言いふらしてやる!」なんて考えになってしまう方も中にはいらっしゃるのです。
こうなると、問題を回避するために、効果がないと分かっている薬をしぶしぶ処方する医師もいるでしょう。
お薬を出さないで、リピートもしてもらえないと収入も入らなくなってしまいます。
どんなキレイ事を並べようとも、医療もサービス業、客商売ということです。
間歇牽引
間歇牽引の効果は認められていないばかりか、かえって関節の不安定性を増大(悪化)させることが指摘されている。

上の図の機械で骨盤とワキをひっかけて引っ張る機械です。
現代の(先進)医療では間歇牽引(機械牽引)は”良くない”とされています。
しかし、この治療は現在でも使われています。
その背景はというと…
”スタッフが楽できる”
”利用者からの満足度が取れる”
”この機械の熱狂的なファンが居て断れない”
他にもあるかもしれまんが、先ほどの鎮痛剤の件とも似ているのですが、効果がなくても喜ばれたり、コレをしないと機嫌を損ねる方が一定数存在します。
あとは昔から行われてきた手法であるため、今更”良くない”と言われても受け入れられない、理解できない頑固なセラピストや医師も存在します。
そもそも、勉強をしていないため、悪化要因になるということを知らない場合もあります。
そもそも、骨盤とワキで引っ張ったら、いったい何処に牽引がかかっているのか不明です。腰椎以外にも牽引がかってしまうでしょう。
そして、腰痛や関節の問題で痛みを生じている場合は、大抵の場合は関節がルーズ(緩い)なことで痛みを出しています。
そんな緩い関節を引っ張ったら…容易に想像ができますよね。
ギックリ腰などの、靭帯にダメージのあるケースでは悪化を招くでしょう。
その場合やっていることは、捻挫した足首を引っ張るのと、なんら変わりません。
安全な牽引
仮に関節の牽引を行う場合には、その”強さ”と、”目的の場所以外は動かさない”、無暗な力を加えないことが重要になってきます。
徒手療法の界隈では”モビライゼーション”と呼ばれていす。
痛みの軽減の目的の場合は関節間を結ぶ、関節包や靭帯を引っ張らない、スラック(弛み)をとるだけの極弱い力で行われます。
目的の場所を触診し、数㎜の動きを確認しながら行います。
目的の場所以外も動かしてしまった場合は、治療結果が良かろうが、悪かろうが何に影響を受けて変化が現れたのか自分でもわからなくなってしまいます。再現性が重要となります。
おそらく、これだけでは根治療にはならないでしょう。試験治療という、どちらかといえば、検査に使われるケースの方が多いかもしれません。
何よりも検査が重要
結局の所、85%が原因不明というのは画像診断に依存してマニュアル化してしまった弊害と言えるのではないでしょうか。
すなわち、原因不明なのではなく、検査者が原因追及ができる能力を持ち合わせていないということです。
関節の動き、筋力、神経の触診、姿勢、動作、痛みの出る姿勢、痛みの出ない姿勢といった検査項目は、検査者によって大きく差が出てしまうため、なかなかマニュアル化は難しいと言われています。
しかし、画像に映らないものを検査しなければ到底、原因にはたどり着けないでしょう。
腰が痛いと訴えられたら、腰の画像だけを撮影して、異常なしなんていうのは誰にでも出来てしまいます。全体像を見極める、総合評価、診療が必要になってきているのです。
世界の先進医療ではこれらの検査が見直され始めています。
まとめ
例え、世界的に、あるいは日本の医療が発展したとしても、個人が、あるいは、一つの病院が提供できる医療は最先端とは限りません。
20~30年前の自分が学校で学んできた医療をそのまま提供している人、施設も存在します。
科学や医療は日々変化していきます。
常識とされていたことが、ある日、否定されることさえあり得るのです。
医療を受ける側の人間であっても、与えられた情報を鵜呑みにせずにしっかりと自身で考え、正しい物を選び取る能力を養うことが重要となるのではないでしょうか。
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