身体の悩み

膝が痛い方へ、変形性関節症?

  • 膝が痛い…。
  • 医師からは変形性関節症と言われた。
  • 体重が重いせい?
  • 加齢によるもの?
  • 大腿四頭筋を鍛えれば治ると言われたが効果を実感できない。

一般的に高齢で膝が痛い=変形性膝関節症と言いきるようにメディアでも良く取り上げられています。実際に診察を受けた方はその言葉を聞かされた方は多いのではないでしょうか。

今回の記事では変形性膝関節症とそれ以外の可能性を考えていきます。

変形性膝関節症について

男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。診断はO脚変形などの有無、可動域を調べ、X線(レントゲン)検査で診断します。必要によりMRI検査などをします。治療は痛み止め薬、湿布、ヒアルロン酸注射、手術といったところでしょうか。

つまり多くの場合、現在の医療機関での診断は画像診断に重きを委ねられており、末梢神経・筋・靭帯等の軟部組織の検査は疎かになっている傾向があるようです。画像での診断だけでは本当に痛みを出している組織が関節内によるものなのかの確証にはなり得ません。特に高齢者の場合は老化現象による退行変性が生じ、損傷が確認されます。これは顔にシワがよったりシミができたりと同じように誰でも当然のように起こりうる老化現象です。すなわち、高齢者ほど画像検査の信憑性は低くなります。そして、関節内にも複数の組織が存在し、より良い成果を上げるには原因組織の細かな特定が必要になります。

膝の痛みの原因組織について

おおまかに3つに分けることができます。

  • 関節内
  • 関節外
  • 末梢神経

関節内

主に変形性関節症の痛みの発生部位とされているのがこの関節内です。

内側半月板

膝関節の内側に位置しO脚の場合ストレスを受けやすい場所になります。

外側半月板

膝関節の外側に位置しX脚の場合ストレスを受けやすい場所になります。

前十時靭帯

脛骨(けいこつ)を腹側(前方)に移動するのを制限し、関節の安定性に関与しています。この靭帯は損傷を受けたり、伸びてし待った状態になると膝関節は過伸展、あるいはその不安定性を制御するため脛骨の内旋、つまりつま先が内側を向きO脚の形になることがあります。
またハムストリングスも同じく脛骨の腹側への移動を制限する機能があるため筋力強化や、大腿四頭筋との同時収縮が必要となります。

後十字靭帯

脛骨を背側(後方)に移動するのを制限し、関節の安定性に関与しています。

関節外

内側側副靭帯

脛骨の内側への移動を制限し、内側半月板と癒合しているため、同時に痛みを生じるケースがあります。

外側側副靭帯

脛骨の外側への移動を制限します。この靭帯が損傷を受けたり、伸びてしまった状態になると脛骨が外側へ移動しやすくなるためO脚の形になることがあります。

筋肉

多く見られるのは大腿四頭筋、膝窩筋。多くは関節の不安定性を制限しようとするための過度な緊張状態が原因と考えられるため、根本の原因とはなりにくいです。

膝蓋骨

膝関節(大腿骨と脛骨)の変位で同時に損傷を受ける場合があります。

末梢神経

関節だとばかり思って見落とされがちなのが末梢神経の痛みです。膝が痛くて「変形性関節症だと言われた」という方の中にも実は神経性の痛みが原因でしたなんて方は何人かいらっしゃいます。膝の腹側(表側)では大体神経~伏在神経。膝の背側(裏側)では坐骨神経~後脛骨神経~腓骨神経などの痛みや、神経の過敏性が亢進した状態でも人によっては膝関節が痛いと表現することがあるので検査する必要があります。特に膝裏の痛みは間違われやすく、関節内、神経、筋肉のどれもが考えられる要素なのでチェックが必要です。

膝周囲以外での関連要素

膝にトラブルを抱えている方の大半は膝以外にも異常が見つかることがあります。例えばO脚の方の場合は股関節の内転(股を内側へ閉じる)・内旋(太ももを内回し)の可動域制限が見つかるケースがあります。または、歩行時や、日常動作、スポーツなどで股関節への荷重が不十分で膝で動きを代償している場合です。偏平足といった足首のトラブルでも膝の荷重に影響を及ぼし、膝だけを見ていても一向に治らないケースがあります。また、神経症状がある場合は腰椎や膝とは違うルートを検査する必要があります。これは画像での診断は難しいとされています。

まとめ

  • 膝が痛いからといって関節内が原因とは限らない
  • 画像診断だけに頼るのは危険
  • 特に高齢者の場合は老化現象で、関節に退行性変性(関節が痛んでいる)がある場合が多く画像検査の信憑性は一層低くなる
  • 神経症状が見落とされることが多い
  • 膝関節だけでなく、最低でも股関節と足関節の状態はチェックが必要


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