POF法とは ”Position of Flexion”の略称です。
筋への負荷がかかるタイミング(筋の長さ)を3種類に分けて行うトレーニング方法です。
- ミッドレンジ種目
- ストレッチ種目
- コントラクト種目
に分けて行います。
この3種類の運動は筋を発達させる3つの要素を備えています。
- 物理的な刺激
- 筋の損傷による刺激
- 科学的な刺激
これら3つ全てを取り入れた効率的なトレーニング方法であり、可動域の制限が出にくい、バランスの良いトレーニング方法と言えます。
そして、筋の走行を理解するのにとても適しているので、今後筋トレを長期的に続けていく予定の方はこれを機に解剖学を学んでみるのも良いかもしれませんね。
解剖学をかじっている方なら、他のどの筋トレの方法よりもしっくりくる方法かと思います。
詳しい方法とメカニズムについて説明していきます。
POF法のやり方と適切な回数(RM)
POF法では、①ミッドレンジ種目→②ストレッチ種目→③コントラクト種目の順に高重量を扱える種目から順に行っていきます。
- ミッドレンジ種目:ベンチプレス 4~6RM
- ストレッチ種目:ダンベルフライ 8~12RM
- コントラクト種目:ケーブルクロスオーバー 15~20rep
各3~4セット
RMの測定方法は別記事を参照ください。
①ミッドレンジ種目:物理的な刺激【POF法】
POF法でのミッドレンジ種目とは、筋の収縮力が最大になる動作の中盤(ミッドレンジ)の位置での種目です。
つまり、ミッドレンジとは筋が最も出力を発揮しやすい位置で働く種目となります。
筋出力アップ、神経系の発達に適しているとされています。ベンチプレスやスクワットなどの*コンパウンド種目で行うのが適しています。
4~6RMでインターバルは3~5分 程度が目安です。
多関節種目とも言われ、2関節以上の動作が含まれるもので数多くの筋の動員が見込まれます。
上肢の場合は肩と肘、下肢の場合は股関節と膝といった2つ以上の関節が運動に参加する高度な動作になります。
②ストレッチ種目 :筋の損傷による刺激【POF法】
POFでのストレッチ種目とは、筋が最大に引き延ばされた伸長位(ストレッチ姿位)で負荷が最大になる種目です。
腱により負荷がかかりやすく、筋肉痛にもなりやすいです。全可動域で行われるため可動域の改善にも有効と言えます。
筋の損傷をを引き起こし、再生の際の筋肥大を狙った目的として行います。
ダンベルフライ(大胸筋)、インクラインダンベルカール(上腕二頭筋) などが当てはまります。
8~12RMでインターバルは2~3分程度が目安です。
③コントラクト種目 :科学的な刺激【POF法】
POF法でのコントラクト種目とは、筋肉を最大に収縮させた短縮位で最大の負荷がかかる種目です。関節がこれ以上曲がらない・伸びないという位置で絞り込むような収縮です。
血液を集中させ”パンプアップ(後述)”の目的で行われます。筋肉に血流を集め、パンパンに膨らませることが目的なので*アイソレーション種目で行うことが適しています。
重量を上げることが目的ではないので15~20repでインターバルは30秒から1分程度が目安です。
単関節種目とも言われ、大抵は一部位から少数の筋動員で行われる種目です。コンパウンド種目とは対に使われる言葉となりますケーブルクロスオーバーや、レッグエクステンションが当てはまります。
筋発達の仕組み【POF法】
筋発達(筋出力アップ、筋肥大)はIGF-1( Insulin-like growth factors =インスリン様成長因子)の分泌を促すことを目的に行われます。
IGF-1は肝臓や筋から分泌される細胞の成長を促す因子です。
これは人体の細胞の成長に関与し、筋肉・神経・骨などの運動器もそれに含まれます。
POF法では3種類の刺激を用いて、この因子の分泌を促しているということになります。
筋の運動負荷による刺激、神経系への刺激でIGF-1が分泌されます。
筋損傷によりIGF-1が分泌され、筋の周囲にある筋サテライト細胞とIGF-1が結びつき筋繊維になります=筋肥大
筋に乳酸や二酸化炭素といった代謝産物を溜めたり血流を制限することでストレスを与えパンプアップ(血流がを滞らせ膨れ上がった状態)させます。
IGF-1を抑えるミオスタチン
IGF-1の分泌が過剰に分泌されてしまうと、代謝が上がりすぎてしまうため、ブレーキの役割が存在しています。これを「ミオスタチン」と呼びます。骨格筋の細胞増殖を抑制する働きもつタンパク質であり、サイトカインの一種です。
ミオスタチンを抑えるテストステロン
筋の発達を促進させるIGF-1。IGF-1を抑制するミオスタチン。
そして、ミオスタチンを抑制することができるのがテストステロンと呼ばれる男性ホルモンですね。このことから女性よりも、テストステロンを多く持つ男性の方が筋肉の成長(肥大)がしやすいのかもしれませんね。
テストステロンをより多く分泌される負荷量が70~85%だそうです。
つまり、6~12RMの時に分泌量が多くなります。ちょうどストレッチ種目での負荷量がこれにあたるため条件を満たしていると言えるでしょう。
パンプアップとは?(③科学的な刺激)
筋肉が活動するとエネルギーを消費します。それに伴い、乳酸や二酸化炭素といったストレス物質が生成されます。
これらのストレス物質を代謝(捨てる)するために、筋線維から毛細管にかけての血管は拡張します。結果、そこからあふれ出た水分で筋肉はパンパンに膨れ上がった状態になります。
この筋肉がパンパンに膨れ上がった状態は一過性のものですが、代謝産物の蓄積や、血流制限といった科学的なストレスから筋肥大に必要なIGF-1の生成を促すとされています。
また、 体を循環する血液量はその分減少します。心臓・血管などの負荷にもなり得るため、循環器系の強化目的にも応用がすることができそうです。
筋肉中の血流は筋肉の収縮の仕方に依存して変化していきます。トレーニングで繰り返し筋力を発揮するような場合、最大筋力の30%程度で運動中の筋内の血流量が最も増加します。
ところが、負荷を増やして更に力を発揮しようとすると筋内圧の上昇によって静脈圧が増化し、血流は減少していきます。80%以上の力を発揮すると筋肉が血液をしぼり出したような状態になり「局所性貧血」に陥ってしまいます。最大筋力の80%以上、すなわち、8RMより強い強度のトレーニングでは運動中の筋肉は貧血状態になります。このことから、血流を筋肉に集中させてパンプアップを起こさせる目的の運動では、最大筋力の30%程度の低負荷が適していると言えます。
POF法での高負荷運動の注意点
主に高負荷の運動直後に筋は局所性貧血に陥っています。POF法では高負荷を扱うのはミッドレンジの種目になります。
空っぽになった血流を回復させるため、一か所(運動で使った筋)に血流が勢いよく戻っていきます。これにより上半身、脳への血流量が一時的に減少し、立ち眩みのような状態を示す場合があります。これをオールアウトと呼びます。
オールアウトは筋肥大において効果的なトレーニング手段として用いられてる場面もありますが、テストステロン(男性ホルモン)の低下や、コルチゾール(ストレスホルモン)の上昇がみられ、返ってリスクとなる場合もあるので、闇雲に高い負荷量を追い求める手段は危険を伴うどころか効率低下をも招くようです。
POF法での部位別メニュー例【胸・背中・肩】
POF法での胸の鍛え方【トレーニングメニュー】
- ベンチプレス
- インクラインベンチプレス
- ダンベルプレス
- チェストプレス
チェストプレスなどのマシンを使う場合は胸を開ききった位置で負荷がかかるのを意識して行います。
- ケーブルクロスオーバー
- チェストプレス
- ワンハンドプッシュアップ
チェストプレスマシンの場合、胸を閉じきった位置までしっかり可動させることを重視して、軽めで行います。
POF法での背中の鍛え方【トレーニングメニュー】
- デッドリフト
- ベントオーバーロー
- チンニング
可動範囲よりも重量を優先して行います。
- チンニング
- ラッドプルダウン
- ダンベルワンハンドローイング
腕を伸ばしきった位置で最も負荷が乗ることを意識して行います。
- ケーブルラッドプルダウン
- ケーブルワンハンドローイング
- ダンベルワンハンドローイング
- リバースプッシュアップ
肘を骨盤にぶつけるように最も接近した位置で負荷が乗ることを意識して行います。
候補がたくさんあるのでフリーウェイとメインで行う場合は下記のようなメニューでしょうか。
- ミッドレンジ種目:デッドリフト 4~6RM
- ストレッチ種目:ダンベルワンハンドローイング 8~12RM
- コントラクト種目:ケーブルラッドプルダウン 15~20rep
POF法での肩の鍛え方【トレーニングメニュー】
- バーベルショルダープレス
- スミスショルダープレス
- ケーブルワンハンドサイドレイズ
- ケーブルクロスサイドレイズ
- インクラインサイドレイズ
- ダンベルサイドレイズ
- ケーブルサイドレイズ
- ダンベルショルダープレス
肩の可動最終域で負荷が乗ることを意識して行います。
フィットフードホームは、他ブランドと異なり、「添加物を可能な限り使用せず」、一食一食が丁寧に手作りしたカラダに優しいお食事です。