食事

カロリーコントロール|マクロ管理

ダイエット・減量を考えた際に「夏までに痩せたいからご飯の量を減らそう…」

筋肉を肥大させたくて「筋肥大には、まずは増量しないといけないらしいから、とにかくたくさん食べよう」

増量・減量を考える上で根拠となるものはありますか?

ダイエットの際に何で痩せたのか、なんで痩せないのかのフィードバックはされていますか?

今回はカロリーコントロールに関する基本的なことを記述していきます。

高齢者のダイエットに関しての記載も参考になれば幸いです。

カロリーの計算

体重の変化は「消費カロリー」と「摂取カロリー」の変動によって、
①減量②増量③維持の3つの変化が起こります。

  1. 減量:[消費カロリー]>[摂取カロリー]
  2. 増量:[消費カロリー]<[摂取カロリー]
  3. 維持:[消費カロリー]=[摂取カロリー]

これらの変化を意図的に実行する場合、1日の消費カロリーの目安を把握することが必要になります。

[消費カロリー]=[①基礎代謝]×[②活動係数]

例えば、基礎代謝が20代男性の平均値をもち、活動量が高い場合の消費カロリーは…

[消費カロリー]=[①1550kcall]×[②1.725]=2674kcall

となります。

消費カロリーを導き出すには「①基礎代謝」と「②活動係数」を求めます。

①基礎代謝

基礎代謝の計算式はいくつも存在しています。

ハリス・ベネディクト方程式(改良版)

◆計算機:https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228736

  • 男性:13.397×体重kg+4.799×身長cm−5.677×年齢+88.362
  • 女性:9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593

The Mifflin, M. D., St Jeor formula

◆計算機:https://dietgenius.jp/macro-nutrient-calculator/

  • 男性:10×体重kg+6.25×身長cm−5×年齢+5
  • 女性:10×体重kg+6.25×身長cm−5×年齢−161

日本人の平均値

年齢 / 性別男性[kcall]女性[kcall]
18~29歳
1,5501,210
30~49歳1,5001,170
50~69歳1,3501,110
70歳以上1,2201,010

②活動係数

人は一日中横になっているわけではなく、移動や運動でエネルギーを消費します。そこで、一日あたりの消費カロリーも考慮に入れた活動代謝を計算にいれます。

◆活動量:低い(基礎代謝×1.2)

座り仕事が多く、一日の運動は偶に歩いたり階段を上ったりする程度の人。

◆活動量:中程度(基礎代謝×1.55)

立ち仕事や重労働が多く、比較的一日中動き回っている人。

◆活動量:高い(基礎代謝×1.725)

立ち仕事や重労働が多く、加えてジムなどでトレーニングを行ったり運動をしている人。

摂取カロリー

体重1㎏を増量する場合、消費カロリーよりも[+7200kcall]が必要です。

体重1㎏を減量する場合、消費カロリーよりも[-7200kcall]が必要です。

一か月を30日とすると、一日につき240kcallとなります。

例えば、一か月で2㎏減量したい場合は…

[摂取カロリー]=[消費カロリー]-([240kcall]×[2か月])

例を挙げて実際に計算してみます。

例:30歳 男性 身長172cm 体重62kg 活動量:高い

「The Mifflin, M. D., St Jeor formula」で基礎代謝を計算します。

①基礎代謝は1550kcallでした。

活動量は高いので②活動係数は1.725です。

[消費カロリー]=[①1550kcall]×[②1.725]=2674kcall

[摂取カロリー]= [2674kcall]-[480kcall]=2194kcall

2194kcallを毎日の食事で摂取し続ければ1か月後には体重が2㎏減量できるという計算になります。

※消費カロリーに、減量なら0.8、増量なら1.2をかける方法もあります。

マクロ管理法とPFCバランス

カロリーを何で摂取するかが重要になってきます。

P:Proteinタンパク質4kcall/g
F:Fat脂質9kcall/g
C:Carbonhydrate炭水化物4kcall/g

タンパク質の基準値は、自分の体重1㎏あたり1gが最低減必要(60㎏の場合120g)で、減量やトレーニングで筋肥大を求める場合は1.5~2g/㎏程度が求められます。現代の論文報告では、2.2g/㎏までの摂取は健康被害が出ないと謳っています。つまり、アスリートでは3g/kgを摂取している方も存在しますが、過剰摂取は自己責任となります。

脂質は、他の2栄養素よりもgあたりのカロリーが高く、ダイエットを目的にした場合低く見積もられる傾向がありますが、ホルモンの構成要素を担っている脂質を極端に制限してしまうと、疲れやすくなったり、様々な体調不良、女性では生理不順、男性では筋力低下などの問題を引き起こしやすくなってしまいます。

基準値として、総摂取カロリーの20%~25%は最低限必要になります。特に女性では25%以上が推奨されます。できる限り、卵や、オリーブオイル、ココナッツオイル、ナッツ類等の上質な脂質を摂取することが重要になります。

炭水化物は身体を動かすエネルギーになったり、脳や血球などの主なエネルギー源です。

基準値として、”糖質の最低摂取量は肝糖産生に依存せずに脳に供給する糖質量に安全率を加味した150g/day程度が妥当であり、これは目標値ではなく、最低糖質摂取量として推奨されるべきと考える。”と言われています。少なすぎると筋力低下や、思考能力低下、眠気など様々な症状も現れます。また、体重1㎏あたり4~5gが推奨されるとも言われており、これを下回るダイエットは身体に負担がかかることになるかもしれません。

以上をまとめると…

  • ダイエットや筋肥大に必要なタンパク質は2g/体重1㎏
  • 脂質は全体の25%程度が最低限必要
  • 炭水化物は最低150g必要で、4g/体重1kg以上を推奨

摂取する栄養素の決定

先ほどの続きで、活動量の高い、身長172㎝、体重62㎏の男性を例に挙げます。

消費カロリーが2674kcallで、月に2㎏程度の減量したいため、摂取カロリーを2194kcallにします。摂取カロリーを構成するPFCバランスを順に決定していきます。

P:タンパク質
体重を2倍した値なので62kg×2g=124g
タンパク質1gあたり4kcallなので124×4=496kcall

F:脂質
摂取カロリーの25%なので2194kcall×0.25=549kcall
脂質1gあたり9kcallなので549÷9=61g

C:炭水化物
摂取カロリーの2194kcallからタンパク質と脂質のカロリーを引いた物。
つまり2194-(496+549)=1149kcall
炭水化物1gあたり4kcallなので1149÷4=287g

gkcallバランス
タンパク質12449623%
脂質6154925%
炭水化物287114952%

使い方

上記の計算でだされた値±10g程度に抑えられるのが理想的です。

私はホエイプロテインを食間に3回飲んでいます。

  • タンパク質:21g*3=63
  • 脂質:1.3g*3=3.9
  • 炭水化物:2.0g*3=6

これだけで必要なタンパク質の半分を補えていることになります。残り三食で一食20g程度を目標に食事をとっていきます。タンパク質は一食で多くとも30g程度までしか吸収されず、一食20~25gの摂取が理想とされています。

<カロリーSlism> というサイトで食品の栄養素を調べることができます。

プロテインのように固定の食事を作ると計算がしやすくなります。下記記事も参考にしてみてください。

">≫ダイエットにも有効|プロテインとの付き合い方

食事の回数の増やすと、胃や腸で代謝・吸収するために消費カロリーが生じます。全体の摂取カロリーの10%にあたると言われています。可能ならこまめに摂取した方が良いでしょう。

例えば、上記のプロテイン3食に加えて、朝ごはんに必ず「ゆで卵1つ、胸肉50g、ご飯250g」を食べることを決めてしまうと、
残り2食でタンパク質37g、脂質44.5g、炭水化物188gをクリアすれば達成できることになるので計算がしやすくなります。

また、あまりに気にするのもストレスになってしまうので、慣れてくると、タンパク質を多めに、脂質を抑えるという形でもおおよそ悪い値にならなかったりします。

計算が慣れないうちは上記のような固定の食事を作ったり、毎食の写メを摂って食事の栄養素を毎晩合計値を確認するのも良いかもしれません。

https://pt-tatsuya.com/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E3%82%82%E6%9C%89%E5%8A%B9%EF%BD%9C%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%BB%98%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E6%96%B9/

フィードバック

仮に体重の減量に成功したならば、減った体重で代謝を再度計算していく必要があります。また成果がでなかったり、減らしたいのに逆に増えてしまったりと思惑通りにいかない場合があります。

2~4週間程度のスパンでこのまま続けるべきなのか食事や、運動、式を見直すべきなのかをフィードバックして改善していく必要があります。

高齢者のダイエット

肥満とは様々な疾患を引き起こし、時には薬物等のあらゆる医療行為が制限されると言われています。そんな中、特に高齢者や、身体しょうがい者の肥満は改善が難しいことから重篤な問題となっています。

仮に70歳 女性 身長160cm 80kg 活動量の低い人の場合、消費カロリーは1547kcallしかありません。1か月で1㎏減量しようとすると、摂取カロリーは1307kcallしか得られません。

これで、先ほどのようにタンパク質多め(体重の2倍)のバランスの食事を考えた場合、

  • P:160g
  • F:36g
  • C:86g

となり、炭水化物が最低基準値よりも下回ってしまいます。

次はタンパク質の量を体重の1.5倍にしてみましょう。

  • P:120g
  • F:36g
  • C:126g

まだ、炭水化物の最低基準値の150gに届きません。

おそらくタンパク質と炭水化物を抑えて、活動量を上げないとなかなか難しい計算になります。その活動量もなかなか確保できないとしたら…

高齢者のダイエットは想像以上に難しいようです。

若く、代謝が安定している段階で運動習慣を身につけ、体重や体系を整えておく必要があります。

老後に本当に必要なのは「貯蓄」ではなくて、運動習慣の獲得や、栄養学など健康に対する知識の蓄えなのかもしれませんね…。

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理学療法士(PT)である上で学んだ医療や身体の知識を使って『美容と健康』に関する情報を発信します。
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