身体の悩み

マットレスの選び方。身体に合ったではなく、あなたに合わせた

「私が肩こりや首が痛いのは枕が悪いから?」「腰痛はマットレスを変えたら治るって本当?」などを、 五十肩、首の痛みや腰痛をお持ちの方を診ている中で
問われることがあります。

結論から言うと、寝具が根本原因で痛みを患っている方はほぼいません。しかし、道具一つで症状が楽になったり、マシになったりすることはあり得ます。睡眠は人生の大半を占め、睡眠の質の向上は人生の幸福度を豊かにします。

そこで、私の経験測と知識の中からマットレスの選び方について紹介していきます。より良い眠りの手助けができれば幸いです。

マットレスが身体に及ぼす影響

マットレスが変わること、すなわち姿勢が変化することと捉えることができます。運動器(筋肉、骨、関節、末梢神経など運動に関わる器官)がトラブルの原因の場合では姿勢や動作により、痛み・症状が悪化あるいは軽快します。例えば筋肉が痛いとすると、その筋に力を入れて縮んでいる時や、ストレッチがかかった状態が傷みのトリガーとなります。末梢神経の痛みの例では、正座を続けていると、末梢神経と栄養血管が共に自重による圧迫を受けてシビレや痛みとして症状が出現します。

では、仮にマットレスが原因で痛みや症状がでいるケースで考えてみましょう。

マットレスが硬い場合

メリット

動作が安定します。 寝返り、起き上がり、立ち上がりなどマット面に力を加えて移動、行動がスムーズになります。

デメリット

圧分散の機能に欠けます。 極端な例を挙げると、フローリングの上で寝ていることをイメージしてください。骨の突起部分が圧刺激にさらされてしまいます。あるいは、筋、神経、血管を圧迫してしまうかもしれませんが、しっかり寝返りを行えていれば後遺症とまではいかないでしょう。

マットレスが柔らかい場合

メリット

圧分散の機能に優れま す。「圧力=体重÷面積」なので身体の接地面積が広ければ加わる力が緩まります。柔らかいマットの場合、身体が沈み込み包み込むような形になり接地面積が増えるので加わる圧力が小さくなります。

デメリット

動作が不安定で行い辛くなります。 柔らかい砂場や、液体の上では力が伝わりにくくなり動作が不安定になるのと同じように、寝返り、起き上がり、立ち上がり動作や、マットの上で座るといった姿勢も不安定になります。ソファー替わりにベッドを利用している方には不向きかもしれません。 極端な例を挙げると、とても深い沈み込むクッションの上で寝転がると自分の体の形のまますっぽり沈みこんでいきます。果たして身動きが取れるでしょうか… 。

「柔らかい⇔硬い」どっちがいいの?

接地面が広ければ安定するし、狭ければ動作が行いやすくなります。4輪の車より、2輪のバイクの方が小回りが利くけど、転ぶリスクがあります。

柔らかいマットレスで深く包み込まれて快適…だけど寝返りが制限されるほどならもしかして末梢神経や、血管は長時間の弱い圧迫にさらされることになるかもしれません。といったように天秤の様な関係性にあるのでどちらとも言いきれません。つまり個人に合わせて選ばなければなりません。

しかし、宣伝広告などでは「マットレスの性能は体圧分散能力、通気性、保温性…」など都合の良い評価基準をピックアップして、あたかもこれ以上ない最高の商品に仕立て上げている印象を受けます。本当に消費者のことを考えているのなら、もっと豊かなバリエーション展開をしているはずです。

商品の選び方、判断基準

先にも述べたように個人の能力、環境で選択基準が変化するのであくまで目安とお考えください。

  • 耐久性
  • 厚さ
  • 硬さ・素材
  • 携帯性
  • 価格

耐久性

「この商品は○○万回の圧試験に合格しています」はアテになりません。そもそもマットレスは短期間にそんなに連続した刺激にはさらされませんよね。耐久性とは、強い刺激に短期的に耐える防御力ではなくて、何年使えるのかということが重要になります。ウレタン素材のマットレスは主に汗などの皮脂や湿気で、酸化し形状が保てなくなったり、弾力性が失われたり、ヒビ割れなどが起こります。なので通気性と耐久性は同じ評価尺度で見ていく必要があります。通気性はウレタン素材だけでなく、カバーでも影響します。カバーがビニール素材である場合や、ウレタン以外のジェルマットレスなどは通気性に乏しく、汗疹などの原因にもなり得ます。

また、マットレスを敷いている環境にも影響し、マットレスの下が床なのか、ベッドマットのスプリングなのか。ベッドならベッド下収納の引き出しが付いたものは通気性が著しく低下するのでマットレスなどの寝具の劣化を早め、耐久性に影響を与えます。

劣化状態の目安として、カバーを開いてウレタンが固くなっていないか、変色(カビ等)やヒビがないかなどチェックします。おおよそ2~3年も経てば新品時の性能は既に無くなっていることが多いです。 「10年間保証で1年あたり○○円」などの長すぎる保証期間を謳い文句に掲げている商品は少々信用に欠けるかもしれません。

厚さ

まず底づき(マットがつぶれて床までとどいてしまうこと)しないことが前提です。薄くて、柔らかい素材で出来たものは論外です。ベッドのスプリングの上に敷く場合、 低反発の素材で、一般的な体重の方なら5㎝以上であれば問題ないでしょう。 底づきしない程度の最低限度の圧さがお勧めです。 薄すぎるとすぐに潰れてしまって劣化が早い傾向です。

仰向けではお尻。横向きでは肩かお尻が底づきしやすいです。

分厚すぎると

  • ベッドの高さが高くなって、寝起きがやりづらくなる
  • ソファー代わりに使いづらくなる
  • 寝返りがうちにくくなる
  • 持ち運びが重くなる
  • 通気性が悪くなる
  • シーツ交換の手間がかかる

などの不具合が生じやすいです。

スプリングなしや、床に敷いている方は分厚めの、あるいは硬いタイプを選ばれてもいいかもしれません。基本は「底づきしないこと」です。

硬さ・素材

ベッドスプリングを使用する際は低反発素材を選んでおけば問題ないでしょう。
スプリングが反発する作用をすでに持っています。 柔らかすぎて底づきしないように、厚さと合わせて見ていきます。硬すぎる際に起こる現象、目安としては仰向けの場合では「腰の下・膝の下・足首の下・肩の裏」にスペースができているような時は硬すぎるかもしれません。横向きで寝る場合では、ウエストが細い方、肩幅やヒップに差がある方は「腰の下・腋の下」にスペースがないかを見ておくと良いでしょう。

多層構造の物は違う種類のウレタン素材を接着してあるものです。大抵は底が堅い素材で、天板が柔らかい低反発素材です。体重量が重い方やどうしても底付きしやすい方は使ってみると良いでしょう。高反発の固い素材単品の製品は不安定になりやすく、調整が難しいためあまりお勧めしません。

首の下は大抵のマットレスでスペースができてしまうはずです。 そこを補うのがズバリ枕の役割ですね。 枕選びに関する記事も参考にしてください。もし、枕を使用せずとも首の下にスペースができない場合は柔らかすぎるかと思われます。頭の重さだけでそこまで沈みこんでいるとすると、お尻の位置ではもっと深くに沈みこんでいる可能性が高いので、姿勢に悪影響かと思われます。

携帯性

折りたたみ式か否かですね。

ミニマリストや部屋を広く使いたいから毎回マットをたたんで片づける方には便利かもしれません。

ただ、寝た場合に折り目に身体が入り込み不快感や、姿勢に影響を与え、分厚い折りたたみ商品ではそれらが顕著に現れます。
なので質の高い睡眠といった観点からは勧めしません。

価格

結論から言うと、ウレタン素材の場合1万円以下の価格帯の物を2-3年おきに交換することがお勧めです。どんなに良質な物でも劣化からは逃れられないので、劣化状態をチェックして、新しい物を選んでいくことが個人的にお勧めです。上記のことに注目して選べば、低価格帯でもあなたに合ったマットレスが見つかるはずです。

医療・福祉用品のエアーマットでも20万円程度です。一人で抱えて運ぶのが困難な高濃度のジェルマットレスでも10数万円程度で購入することができます。ウレタン素材でそれ相応、それ以上というのは… 他の部分への投資でしょうか。ウレタンの加工よりも、それを入れるカバーの作成に手間とコストがかかるということを聞いたことがあります。

まとめ

  • ベッドスプリング+天板が低反発素材
  • 底づきしない最低限の厚さがお勧め
  • あなたの生活スタイルに合ったものを選ぶ
  • 劣化したら交換していく消耗品として扱う

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