身体の悩み

【巻き爪】原因と次のリスク

見えないものだから、大声では言わないけれど…

巻き爪で悩んでいる方は決して少なくはありません…。

私も多くの巻き爪で悩んでいる方を見てきました。中には皮膚科や、整形外科で手術をしたなんて方もちらほら見受けられました。その内容といえば、巻き爪になっている”爪そのものを根こそぎもぎ取る”。あるいは”両端を切除してして根元を焼き切る”など見たことがありますが、どちらもまた同じように巻き爪の状態で再生していました…。むしろ形が悪くなったようにも思えるほどです。

この現状をみるに、医療機関でのアプローチ方法は未だマニュアル化されていないようです。

そんな、巻き爪に関する要因と解釈…そして、その現象から起こり得るリスクについてお話します。

原因とは…

巻き爪の原因とされているものは多々あります。

  • サイズの合わない靴
  • 歩かない
  • スリッパやクロックス
  • 踵重心

サイズの合わない靴や、先のとがった靴だと指先が行き場を失い、巻き爪になるリスクが上がるなど言われていますが、これらの共通点とは…

”指先に体重がかかっていないこと”

指先の中でも特には親指で起こる巻き爪では、親指のある、つま先内側への荷重が不十分であるとことが原因であると考えられます。

サイズの合わない靴

サイズの小さい靴、パンプスや、ヒールなどの先の細い靴では、特に親指と人差指が重なって、この状態では指先、特には”親指に体重がかかっていない状態になります。

指先に体重がかかっていないということは、他の部分に圧力が集中する原因にもなります。指の付け根周囲に豆ができている方は要注意です。

歩かない

歩く機会が極端に少ない高齢者や、車いすの方などはそもそも指と言わず、足の裏そのものへの荷重が不十分となっているケースが多く見られます。

スリッパやクロックス

昨今多く見られるのが”クロックス”を日常履きの靴にしてしまっている方ですね。これは分類とすればスリッパと同等のものであり踵がなく、指先を常に挙げて歩くことになります。でなければスリッパやクロックスなどの踵のない履物は彼方向こうへ飛んで行ってしまうことでしょう。

踵重心

立っている時の体重はどこにありますか?広い足の裏の踵一点で体重を支えていませんか?

これも、指先への荷重が不十分になるばかりか、へっぴり腰になり見た目上もあまり良い物とは言えません。

どうしてそんなことで巻き爪に?

そもそも人間の身体を構成する組織全般に言えることですが、”刺激がかかっていない組織は劣化していきます。”

例えば、筋肉は使わなければ細く弱くなるし、刺激を与えてあげれば太く強くなっていきます。

皮膚も生まれたての赤ちゃんの足裏は私たちのように分厚く硬くないですよね。歩いたり立ったりする前では体重を支えるという荷重刺激や摩擦が一切足の裏の皮膚にかかっていません。

反対に良く歩いたり、スポーツなどで飛んだり跳ねたりしている人の足の裏はつねに体重より重たい刺激に晒されていますし、刺激に耐えうるため、皮膚は強く硬くなり、豆の一つや二つもあるかもしれません。

このように環境や刺激に合わせて進化・適応する能力が人間や生物には備わっています。生活の中で使わない組織は退化(弱くなる)していくし、必要なものは進化(強くなる)していくのです。

では、足先や、爪の場合はどうでしょうか?

指先に荷重刺激が加われば、元々丸みを帯びていた爪は上からの圧刺激により平になるように力が加わります。また、刺激に耐えうる強度が要求されるので、より強く硬くなるかもしれません。

反対に刺激を受けなければ、爪の強度は落ち、薄く柔らかくなります。それに加え、押さえつけていた上からの圧刺激がなくなり、 元々丸みを帯びている爪の形状は、丸くなる方向へ加速してしまうことでしょう。薄く、丸みを帯び、爪以外の周囲の皮膚も弱くなるとすれば…刺さってしまうかもしれませんね…。

その他に影響を与える因子

上記で述べた理屈だけでは説明がつかないほど悪化したケースも中には存在します。考えてみましょう。

  • 深爪
  • 不衛生
  • 爪の根元へのダメージ

深爪

手のケアの記事でも記載しましたが、爪は指先を外の刺激から守る存在です。爪を深く、短く切りすぎると、あらゆる刺激に晒されてしまいます。そうなると、本来は爪が走るレール部分の皮膚が、摩擦刺激により肥厚(硬く分厚くなる)してしまいます。肥厚してレールの形が変わってしまえば、爪が伸びる方向も変化してしまうことでしょう。

不衛生

先ほどの続きになりますが深爪により、守るべきバリアが無い状態では、菌や汚れへの耐性も低下してしまいます。

化膿や炎症で皮膚表面は腫れあがります。生えてしまった爪は髪の毛と同じで、炎症からの腫れの影響を受けません。すると皮膚だけが腫れあがり、またその炎症が慢性化すると、元々の皮膚に沿った形ではなく、腫れあがった形に沿って爪は成長してしまうことでしょう。

また、足や指先は直接床と接触する、言わばキレイとは言い難い環境に常に置かれています。畑作業や、屋外で泥が爪に入ったまま放置なども良くないでしょう。爪と皮膚の間に”汚れ”が溜まったまま爪が伸びれば、本来進むはずのレールが通れない状態になってしまいます。

無理やり取り除くよりは、”爪用の洗浄ブラシ”または”歯ブラシのソフトタイプ”で優しく洗浄してあげるのがオススメです。歯ブラシの場合は使い終わったヨレヨレのものでも使えるので、交換の際には古い方を一本ストックしておくのも良いかもしれませんね。

爪の下の皮膚の形(レール)が、皮膚の”肥厚、炎症、汚れ”により変化すれば、そこを通る爪の形も変化してしまいます。

爪の根元へのダメージ

爪の根元の薄い皮を爪上皮(そうじょうひ)と呼び、通称は甘皮と呼ばれています。その奥にあるのが爪母(そうぼ)と呼ばれ、爪を生成する工場になります。この爪母にダメージを与えてしまうと、生えてくる爪の形が歪になる場合があります。

考えられる要因は、指先をどこかへぶつけたり、挟んだり。または、窮屈な靴で継続的な刺激からのダメージ。女性ではネイルケア時の甘皮処理を深追いしすぎると爪母を傷つけている恐れがあります。

ササクレをむしり取るクセのある方も注意が必要です。

派生して起こりうるリスク

巻き爪が存在すると、痛みで一層指先に荷重がかけづらくなってしまいます。

  • 外反母趾
  • 腰痛

指の握る力が低下すると外反母趾のリスクも発生します

指先に荷重しなければ指の柔軟性が低下します。足の指の筋肉の中には足首の動きにも関与しているものがあります。足首の動きが制限されると、通常立った状態では膝が曲がりにくくなります。下の物を取ろうとしゃがみ込む際に膝を曲げるのが普通です。しかし、膝が曲がらないとしたら…腰だけで動きを作り出すことになります。つまり、腰痛になるリスクが生じます

≫あなたの痛みの原因は本当に腰ですか?

対処方法

上記のことに気を付けていれば予防することができるはずです。

ここからはなってしまった時の対処法になります。

  • 靴のつま先は遊びがあるものを選ぶ
  • 爪切りの形
  • テーピング
  • トレーニング

靴のつま先は遊びがあるものを選ぶ

スリッパや、クロックスは避けましょう。

足の親指の付け根~小指の付け根がしっかり締まり、靴の中で足が左右に暴れないもの。また、靴の中で指先を自由に動かせるものを選びましょう。

踵重心の方は、”踵がわずかに高く設定された靴”、スニーカー等を選びましょう。平べったい、カジュアルシューズは歩きにくいはずです。

爪切りの形

深爪にならないように”スクエアオフ”の形がオススメです。

指先の先端と爪が平行か、+1~2㎜程度に爪切りを留めておくと深爪になりにくいはずです。足の指は手の爪に比べて大きいため一度にたくさん切ろうとすると割れてしまいます。慎重を期するなら、”親指だけでも全てヤスリで削る”ことをオススメします。

下記リンクも参考にしてみてください。

≫爪の手入れ。男性がしても良い?

テーピング

痛みを伴っている場合ですに用います。関節保護用の伸び縮みするテープで構いません。安価で手に入ります。持ち合わせていない場合は絆創膏などでも代用できます。

爪と皮膚の間にテープを入れ込むように張ります。専用の商品も出回っているようなので、参考にしてみてください。

トレーニング

段階的に簡単なものから3種類紹介します。

  • タオルギャザー
  • 座った状態で つま立て運動
  • 立った状態で つま立て運動

タオルギャザー

  1. 裸足になる。
  2. 椅子に座って、足がしっかり床に付くようセッティングする。
  3. 床にタオルを置く。
  4. 足指で床においたタオルを握りながら、たぐり寄せ、繰り返します。

座った状態で つま立て

  1. 椅子に座って、足がしっかり付くようセッティングする。
  2. 座ったまま、つま立てをするように踵を上げ下げするように繰り返します。
  3. この時、指先に、特に親指側に力を込めるように行う。
  4. 負荷を強めたい場合は膝の上に軽い重りを載せる。
  5. 2~3㎏からスタートし重りが無ければ、上体を倒し手で膝を上から押すして重りの代わりにする。

立った状態で つま立て

  1. 両足で立った状態からスタートする。
  2. 不安定な場合は何かにつかまりながら行う。
  3. 踵を上げ下げするように両足でつま立てを繰り返す。
  4. この時、指先に、特に親指側に力を込めるように行う。
  5. 負荷を強めたい場合は片足を挙げて同じように運動を行う。
  6. 1セット10回程度を目安に3~4セット行う。

これらの運動が十分に行えるようになったらスクワットなどの、他の筋肉も同時に収縮する運動に変えていきます。スクワットの際は踵に体重が逃げないように意識して行います。

終わりに

たかが爪、たかが”巻き爪”と侮ってはいけません。

それは、あなたの身体を蝕む最初の1ピースにもなり得るのですから…。

しかし、”爪は病気のシグナル”ともいわれるように、うまく最初の不調を発見できれば、今後のリスクを未然に防げるシグナルにもなり得るのです。

それはあなたの今後の人生にも大きく左右することになるでしょう。

これを機に爪、足のケアを見直してみてはいかがでしょうか。

 


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