なかなか治らない慢性腰痛・・・
画像検査を受けても特に問題ないと言われたが、自分の腰は確かに痛い・・・
そんなお悩みはありませんか?
画像に所見が映らない、つまり、非特異的腰痛と診断され、
- メンタル
- ストレス
- 考えすぎ
などが原因と言われたことのある方もいるかもしれませんね。
”慢性腰痛(非特異的腰痛)に対するアプローチ=抗うつ剤”というのも一般認識になりつつあります。
しかし、”画像所見と痛みの関連性は低い(ない)”というのはご存知でしょうか?
そして、画像検査では得られない検査項目は山ほどあります。
- 動いた時(運動時)の痛み
- 姿勢を変化させた時の痛み
- 楽な姿勢と辛い姿勢がある
上記の3つに一貫性、再現性がある場合はメンタル(心因性)ではなく、運動器に原因がある可能性が非常に高いです。
抗うつ剤には好ましくない副作用が多く見られます。
抗うつ剤を飲む前に、自分の症状を振り返ってみてはいかがでしょうか?
非特異的腰痛=メンタルの病…?
椎間板ヘルニアや、脊柱管狭窄症などの画像に現れる所見がなく、その他、検査を行っても原因が特定できない腰痛を非特異的腰痛と呼び、これは腰痛の85%にも及びます。
そして、この非特異的腰痛は”心因性(メンタル)”のケースもあり、系統的レビューでも認知行動療法が効果的であったと述べています。
このことから、腰痛治療には”抗うつ剤”や心因性へのアプローチが行われるようになりました。
そして、NHKでも原因がわからなかった非特異的腰痛の原因は「心因性だった」「脳の誤認だった」という内容が放送され、あたかも
非特異的腰痛=メンタルの病・・・
が一般認識になってしまったと考えられます。
そもそも非特異的腰痛という括りが広すぎる
しかし、ここで考えてほしいのが非特異的腰痛とは、全腰痛のおよそ85%に及びます。
この中には、画像検査で除外された疾患以外の全てが当てはまります。
確かに、85%の内の”心因性の腰痛”に対しては効果があるかもしれません。
ですが、そうでない物に関してはどうなるでしょうか?
対象の症例を選ぶ段階で、全体の85%にも及ぶもの全てが心因性と考えて、抗うつ剤か、認知行動療法というアプローチに偏ってしまっても良いのでしょう?
非特異的腰痛という答えに行き着くまでにもっとできることがあるのではないかと考えます。
そもそも、画像所見と症状とは一致しないことが一般的です。
非特異的腰痛という答えに行き着くまでに行う検査は画像検査がほとんどであり、症状と一致しない検査だけで確定診断としてしまうのは、全く的を絞れていないと言わざるを得ません。
抗うつ剤と認知行動療法で改善した人が多かった・・・では効果の出なかった人はどうなるのでしょう?
画像検査>異常なし>非特異的腰痛>心因性>認知行動療法と抗うつ剤
これで、すべての腰痛が本当にフォローできるのでしょうか?
現代の医療では、安易に非特異的腰痛と診断せずに、原因を特定することが重要と思われます。
非特異的腰痛の原因を考えてみる
「腰が痛い」場合に以下の原因が考えられます。
- 運動器
- 心因性
- 内臓
運動器とは、骨、関節、筋肉、靭帯、神経などの運動にまつわるもの全般を指します。
画像検査では、筋肉や靭帯、末梢神経は映りません。関節の動き、可動性も特定することができません。大よそ15%の原因しか見つけることができず、その画像検査で得られた所見も、痛みとの関連性は低いと言われています。
この筋や、神経、関節の動き問題があったとしても、おそらく非特異的腰痛に分類されてしまうでしょう。上の図の黄色の部分に当たります。
画像所見がない=「わからない痛み」=非特異的腰痛 になります。
診断名は筋筋膜性腰痛などの適当なものがついて、湿布、飲み薬、注射といった、効果が不明瞭なアプローチをされることがザラにあります。
難しいと思われがちな腰痛診断ですが、最初の分類わけである、運動器がなのか、あるいは違うのかを判断するのは極めて単純です。
運動器が原因の場合
運動器が原因の場合は以下の3点を大まかに見てみましょう。
- 動いた時(運動時)の痛み
- 姿勢を変化させた時の痛み
- 楽な姿勢と辛い姿勢がある
毎回同じ反応で、再現性の高い痛みが表れます。
問診と動作の確認、自動運動、他動運動で確認し、原因組織の鑑別までを行います。
そもそも、腰痛と訴えがある方で必ずしも腰が原因とは限らないため、
- 胸椎
- 腰椎
- 仙腸関節
- 股関節
の4つは最低確認する必要があります。
腰椎、胸椎の場合は髄節までを特定し、椎間板なのか、椎体の椎間関節なのか、あるいは肋骨なのかをチェックします。
部位を特定したあとは、
- 末梢神経:伸長してみる、触診して刺激を加え、痛みを誘発できるか確認
- 筋:収縮時とストレッチで痛みが表れる
- 靭帯:伸長時と短縮時で刺激を加え痛みを誘発できるか確認。関節の安定性を確認
このように段階を踏んで、マニュアルでの検査が必要になってきます。
運動器だとわかったなら、運動・エクササイズが重要になります。痛いからといって過度の安静は毒になります。
<関連記事>
- マニュアル(徒手での検査):検査者によりデータにバラつきがでる
- オート(機械での検査):一定水準が約束される検査だが、これだけでは不十分
しかし、マニュアルの検査は、検査者によっても結果が変わり、信憑性としては低いと認識され、現在の画像検査メインでの診断が行われています。
機械による検査は時間もかからず、診療報酬も高額であるため、思考停止で行うケースが多いように思われます。
一方のマニュアル検査は
- 時間がかかる
- 制度にバラつきがある
- 収入にならない
こんな検査は廃れていきますよね・・・
しかし、マニュアルでしかわからないことがあるのも事実です。そもそも一回一回の検査の精度にバラつきがあるので、エビデンスも弱くなってしまう傾向です。
高額で最新の機械をもっている大きな医療機関は診療報酬が高く、機械をもっていなければ収入が安定しない。これでは中小の医療機関は淘汰されていくことでしょう。
現場・臨床での経験がある医師、セラピストなら、これは必ず感じたことのある疑問かと思います。
機械を頼りに、誰でもできる検査、誰でもできる治療を選択してきた結果…
「何も得られない診察」
になってしまっています。
この状況が続けば…
「別に人間が診察しなくても良くない?」
といったように、AIに仕事を奪われる時代もくるかもしれませんね・・・
心因性が原因の場合
心因性の原因の場合は、痛みの出方がまばらである場合が多いです。
運動器とは対照的に動いた時、姿勢を変化させた時の痛みに一貫性がありません。
時間によって、日によって、行っている作業内容によって痛みが悪化するといった、痛みの変動が起こります。
これを、どんな時により痛みが発生するのか、あるいはどんな時は楽なのかを日記に書いて記録し、ストレス要因と、解消要因を分析するのが”認知行動療法”です。
心因性以外でも、原因が特定困難な場合は、問診の手がかりとして行う場合もあります。
内臓が原因の場合
上の図には表記されていませんでしたが、疑われる場合は整形外科以外の科目で検査となります。
こちらも、心因性と同様に、姿勢変化による痛みの軽減・増悪が起こりません。
臓器の関連痛が腰に及ぶ場合があるので、内臓の痛みを腰痛だと勘違いしてしまうケースがあります。
どんな時痛いのか、楽な姿勢の有無を問診で聴取する他、疑わしい場合は専門科目での検査が必要となります。
まとめ
医療機関の診断で、
「画像所見がないので、メンタル、ストレスが原因でしょう」
と診断されて、受け入れる前に一歩踏みとどまってみましょう。
①「動いた時(運動時)の痛みは、毎回同じようにあらわれるか?」
②「姿勢を変化させた時の痛みに一貫性はあるか?」
③「楽な姿勢と、辛い姿勢がはっきりしているか?」
もし、この3つに該当するのなら運動器が痛みの原因の可能性が高いと言えます。
”生活習慣、運動習慣、仕事内容で痛みを出すようなアクションはないか”を、考える必要があります。
火の中に手を入れたまま、包帯を巻いても治るわけがありませんよね?
過度の安静は返って毒になります。組織は負荷がかからなければ、どんどん脆弱化し、感覚が過敏になり、通常なら痛くもない刺激に対しても反応するように変化してしまいます。
辛い姿勢と楽な姿勢がハッキリしているなら、できる運動や、ストレッチなどの軽い運動から行いましょう。
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