”足がつる”
何とも言えないあの痛みはなかなか耐え難いものです。
「夜中に足がつってグッスリ眠れない・・・」
「妊娠してから足がつるようになった・・・」
「毎年、夏になると良く足がつる気がする・・・」
中高年では夜中の睡眠中に症状が出るという方は珍しくはありません。
中には妊娠してから症状が表れたというのも耳にします。
症状の出現には様々な原因が考えられます。
今回は、”足がつる”原因と対処・予防法について考えていきます。
足がつるとは
足がつるとは、痛みを伴う筋痙攣(きんけいれん)を指します。
筋クランプや、ふくらはぎがつりやすいことから、こむらがえり(腓返り)とも言われています。
高齢者や、妊婦に多くみられる傾向にあります。
足がつりやすい時期
”足 つる”をGoogle Torrendsで検索してみた結果、面白いことに、6~8月の夏場に集中して、検索数が集中する傾向にあることがわかります。
つまり、夏場の気温が熱い時期に、お悩みの方が増加する傾向にあると予測されます。
足がつる原因は様々なものがありますが、やはり、体内の水分や、電解質異常が関与し、普段は足のつらない方でも症状が出やすくなっていることが予測されます。
つりやすくなる原因と対処
- 脱水
- 電解質異常:ミネラル不足
- 冷え:運動不足、血行不良(循環障害)
- 筋のインバランスと関節不安定性
- 病気(神経障害、循環器障害)
- 妊娠
- 薬の副作用
考えられる原因はいくつかあり、おそらくどれも間違いではないはずです。
これらの原因を把握し、対処していくことが改善と予防に繋がります。
行動を起こして変化がない場合は、目星をつけた原因が間違っているか、あるいは行った対処法が的外れということになります。
一つづつ内容を見ていきましょう。
脱水
脱水は、汗をかいたり、水分を補給しなかったり、食事を抜いたり、嘔吐をしたりで、知らぬうちに起きている場合もあります。
高齢者では、体内水分量がそもそも少ないことから脱水になりやすいとされています。
寝ている間は汗もかくので、早朝や夜中に”足がつりやすい”という方も多く見受けられます。
夏場や、冬場はエアコンで乾燥しないように湿度に注意し、ベッドのわきにドリンクを用意するのも対策になります。
アルコールや、甘いお菓子、塩分の摂りすぎは脱水を手助けしてしまうので注意が必要でしょう。
薬の副作用でも脱水を招くものもあります。
電解質異常:ミネラル不足
電解質とは血液中にある、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のミネラルイオン(鉱物)のことを指します。
筋が伸び縮みする際にも、これらのイオンが働きます。
この電解質のバランスが崩れたり、低下した状態で、”足がつりやすくなる”とされています。
これらは、十分な食事をっていれば、通常起こり得ないはずです。
- 過度なダイエットで食事を十分にとっていない。
- 暑くて、食欲がなくて食べれない。
- 大量の汗をかいた後に、ミネラルを補給していない。
- 水道水やお茶を一度に過剰摂取する
などでは電解質異常を引き起こすこととなります。
夏場では水を飲んでいたのにも関わらず熱中症になってしまった、などがニュースでも報じられこの電解質異常を注意しなければならないことを理解している人も増えているかと思います。
夏場は特に水やお茶だけでなく、「スポーツドリンクや、経口補水液などを飲め」と言われてきていますね。
スポーツドリンクは砂糖も含まれていて、砂糖には脱水作用がありますし、あまり身体に良いとは言えません。
「OS-1」が有名所の経口補水液はコストが高いので、なかなか常備するのは難しいでしょう(^_^;)
まずは、しっかり食事を取ることが前提です。食欲がないなら、少量を数回に分けても良いでしょう。1日3食にこだわる必要はありません。
液体からミネラルを取りたいなら、”ミネラルウォーターの「硬水」”もおすすめです。
軟水≦[カルシウム・マグネシウムが120mg/ℓ]≦硬水
硬水は多少苦みがあり、含まれるマグネシウムは下剤としても使われているので、カブガブ飲むとお腹が弱い人はゆるくなってしまうかもしれないので注意が必要です。
少量づつ飲んで慣らしていきましょう。
マグネシウム:200~400mg
【エビアン/evian】は硬度が控えめで、比較的飲みやすい硬水なので、よろしければお試しください。
【エビアン/evian】
硬度 304mg/ℓ
ナトリウム・・・ 7mg
カルシウム・・・80mg
マグネシウム・・26mg
硬水に慣れている方は【コントラックス】もおすすめです。
カルシウムは牛乳、マグネシウムはナッツ類でも取ることができますが、こちらはミネラルウォーターなのでカロリーは0です。
カロリーを気にせずに気軽にミネラルを摂取できる天然のサプリメントのようなイメージでしょうか。
注意としては、カルシウムの過剰摂取は心疾患のリスクが高くなると言われています。
コントレックスの場合は1日にせいぜい1ℓ以内に収めるのがベターでしょう。
【コントレックス】
硬度1468mg/ℓ
ナトリウム・・・9.4mg
カルシウム・・・468mg
マグネシウム・・・74.5mg
冷え:運動不足、血行不良
血行不良、循環が悪い、運動不足などが考えられます。
この場合、ただ足を暖めた所で根本の改善にはなり得ないでしょう。
熱源が無いのに、靴下を沢山はいたり、毛布でグルグル巻きにするのは、冷たい鉄の塊を保温しているのとそう変わりません。
火種がないのに風をどんなに送っても火は起こりません。
だからといって、常に、お湯につけたり、カイロを張り付けるのも、果たして正しいと言えるでしょうか?
なぜ”冷える”のか、血管などの循環器の問題なのか、運動不足による影響なのか、を考えてやらないと徒労に終わることでしょう。
特にふくらはぎは”第二の心臓”と言われ、この筋が伸び縮みすることで、筋繊維と平行して走る血管に圧を加えて、身体に循環させる働きをもっています。これを”筋ポンプ作用”といいます。
運動不足の場合での”冷え”は、ふくらはぎの筋を動かしてあげることが効果的と言われています。
しかし、通常ならばこの筋は歩いていれば嫌でも収縮する筋です。
はたまた、運動習慣がある人でも、この筋の収縮がなく”冷え”に悩まされているケースもあります。
それは、なぜか・・・。
広い分野になるので思い当たる原因は他にも多数ありますが、
- 踵(かかと)重心の人
- 偏平足の人
- 外反母趾の人
これらを抱えた人達に共通しているのは、”足関節の可動域が狭い”です。
足関節(足首)が動かなければ、そこに連なる筋も正常に動きません。
筋が動かなければ”筋ポンプ作用”も正常に機能しません。
※予防と対策はエクササイズの項にて
筋のインバランスと関節不安定性
先ほども述べた、”足関節の可動域制限”についてです。
問題となりやすいのは、足を上に反らせる背屈の動きになります。
この背屈が制限されると、足根骨で動きで代償してしまいす。
または、この”足根骨の関節”が偏平足や外反母趾などで、ルーズ(動き過ぎる)だと、足関節が動く前にこちらが動くので結果、足関節の制限が生まれやすくなります。
ルーズな関節は、筋のバランスにより症状が悪化、または、ルーズな関節の影響で筋のバランスが崩れることもあります。
- 踵(かかと)重心の人
- 偏平足の人
- 外反母趾の人
かかと重心では足の前側の筋が優位(強く働く)で、つま先や、指に荷重がかからなくなり、足の裏の筋は劣化していく可能性が高いです。
足裏の筋でも特に長母趾屈筋と言われる筋は足関節の底屈にも関与しています。つまり、短縮すると、足関節の背屈制限となります。
偏平足では、足のアーチを保てないほど、足根骨の関節がルーズで動きすぎる状態を指します。この場合、つま先に荷重がかかると足関節よりも、ルーズな関節がより多く動かされて、足関節はどんどん硬くなってしまいます。
この症状が悪化したケースでは、外反母趾となることがあります。
このように足関節の動きが制限され、ふくらはぎの筋も短縮して、動きを失えば、筋ポンプ作用は正常に機能しなくなり、血行はわるくなるでしょう。
また、そんな動きのない筋が急に動かされれば、”足がつる”といったことも起こりやすくなります。
筋の長さを感知する感覚受容器にも異常をきたしてしまいます。
※予防と対策はエクササイズの項にて
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病気
神経疾患、循環器疾患でも足がつりやすくなるのは知られています。
脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアや、閉塞性動脈硬化症いったものです。
これらの病気が隠れている場合には、神経性の疾患であれば、筋力低下、感覚異常といった症状も同時に現れているはずです。
足を実際に手で触ってみて、言うほど冷たくないのであれば、感覚が鈍くなっているのを”冷え”として認識してしまっている場合もあります。
また、「いつも片足ばかり”つりやすい”」「ふくらはぎだけじゃなく、太もも裏も”つりやすい”」という症状をお持ちの方は、よりこのケースが疑われます。
循環器疾患の場合はまず、足の血圧を測定して、腕の血圧と比べてみます。寝た状態で測った時、通常は同じくらいか、足の方が高めの血圧が表示されます。循環・血行が悪い場合は、足の血圧が低く表示されます。
これらの症状の疑いがある場合は、専門家の指示を仰ぎましょう。
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妊娠で足がつりやすくなる
妊婦の場合は、女性ホルモンが多く分泌され、子供を産むため、骨盤は開いてきます。この反応は骨盤だけに留まらず身体の各所でも起こります。
つまり、全身の関節がルーズな状態になります。体重増加も合わさり、関節に負担がかかることになります。身体が重くなり、運動不足になる傾向があり、筋が硬くなったり、血行不良(冷え)を招く場合があります。
また、妊婦は常にお腹の”赤ちゃん”に栄養分を送り続けています。”赤ちゃん”へ送る栄養分には、ミネラルも含まれるため、母体から失われたミネラルや栄養分により、電解質異常を引き起こす可能性があると言えます。
薬の副作用
高齢者で頻繁に”足がつる”という訴えがある場合は、この薬の副作用を必ず考慮しなければなりません。
中には脱水を促す副作用をもった内服薬も存在するので、医師との相談も必要でしょう。利尿剤、血圧を下げる薬などが、それに当たります。
薬を飲みだしてから間もなく”足がつる”症状が出た場合は中止を相談しなければなりません。
そして、”足がつる”と医師に相談すると、以下の内服薬が処方されるケースがあります。
- 筋弛緩薬:芍薬甘草湯(漢方)、エペリゾン、ミオナール 等
- 抗けいれん薬:ジアゼパム、セルシン 等
これらの薬は、筋肉の動きを弱める働きがあります。
ただでさえ筋力低下に苦しむ高齢者に対して、筋力低下を助長する副作用が挙げられています。
仮に運動不足が原因で”足がつる”症状が出ていた方に更に筋肉の動きを弱める作用を与える薬を処方するのは、あまり良い風に感じません・・・。
原因もわからず、十分な診断がなされていないのに、
「足がつるの?じゃあ、お薬だしとくね」
というような安易な処方が医療現場で蔓延しているように思えます。
良く目にする光景ですが、「”足がつる”=薬、漢方」はノーリスクとは言いきれません。
仮に痛みの症状が改善されたとしても、身体能力の低下や、生活の質の低下も危惧され、幸せになれるとは限りません。
あてずっぽうで全員に改善効果が出ることもありえません。
薬の副作用を、別の薬で消そうとして、また副作用が出て・・・
仕方のないことと言ってしまえばそれまでですが、終わりのないパズルは、大量の内服薬での薬剤管理の負担、金銭負担、身体的負担と、負のスパイラルを作り出してしまいます。
エクササイズ
”冷え、運動不足、血行不良”と思われる症状に対しての簡単に行えるストレッチを紹介します。
今回紹介するのは
- 長母趾屈筋
- 腓腹筋
- ヒラメ筋
特に長母趾屈筋は指を動かす筋でありながら、足関節の底屈にも関与しするため、短縮すると、足関節背屈制限や、踵骨が前方へ偏移する可能性もあり、また、筋走行する、内くるぶし直下には神経や、動脈も通るため、末梢神経障害や、循環障害も起きやすい部位になります。
この長母趾屈筋が短縮した状態では、ヒラメ筋や、腓腹筋をストレッチしようとしても、長母趾屈筋が制限となってしまい、十分にストレッチすることができません。
始めに長母趾屈筋の可動性を獲得することが重要となります。
長母趾屈筋のストレッチ
右側のストレッチです。
- 階段の一段目や、柱を使って、親指を反らすように最大まで伸展させる
- 膝を曲げるように屈曲する
腓腹筋のストレッチ
右側のストレッチです。
- 右足関節を反らすように背屈する
- 右膝は伸ばしきる(伸展位)
- 膝が反りすぎないように(過伸展しないように)注意
- 左膝を曲げてお腹を前に突き出す
ヒラメ筋のストレッチ
右側のストレッチです。
- 右足関節を反らすように背屈する
- 右膝を曲げていく(屈曲)
まとめ
いつから症状が出たのか?
何をしている時に、どの時間帯に症状が出やすいのか?
どの部位に?
暑くなった途端なのか?
ダイエットを始めてから間もなくなのか?
新しい薬を飲みだしてからなのか?
新たに作業や活動を始めてからなのか?
中でも”症状の出だしたタイミング”は非常に重要な要素になります。
悩んでいるだけではなく、言われたことだけを答えるのではなく、自分でも症状の現れ方を分析するよう心がけましょう。その上で専門家に相談することで有意義な問診になるはずです。
運動不足や、脱水に心当たりのある方は、まずは上記の”エクササイズ”と、こまめな水分補給、ミネラルを取るための”硬水”を試してみてはいかがでしょうか。
フィットフードホームは、他ブランドと異なり、「添加物を可能な限り使用せず」、一食一食が丁寧に手作りしたカラダに優しいお食事です。