”反張膝”という言葉はご存知でしょうか?
膝がのけ反ったように本来の可動域を超えて、鳥の足のようになっている状態です。
程度物ですが、バレエなどの特殊な競技ではこの状態が美しいと表現される場合もあるようです。
膝過伸展では膝のお皿の出っ張りもなく、曲線が一直線になるので絵的には…でしょうか。
膝という関節は常に体重を支えるために強い刺激を受け続ける関節です。そんな反張膝を放っておくと、その症状は進行していくことになります。
重度化すれば痛みや、その他の関節にも悪影響を与え、気になるO脚や、X脚の原因にもなってしまうこの症状について、見ていきたいと思います。
反張膝(back knee)とは
上の図のように、膝関節が0°の位置で止まらずに過伸展した状態を反張膝(はんちょうしつorはんちょうひざ)=back kneeとも呼ばれます。
膝が過伸展することにより股関節は伸展位(反っている)、足関節は底屈位(つま立て)となっています。股関節に伸展制限がある場合は腰椎が伸展(前弯)を増強することもあります。
症状
”膝裏の痛み”は、脛骨(すねの骨)を前方に移動しないように止めておくための前十字靭帯(以下ACL)が伸びて、損傷を受けてしまった場合。
あるいは、通常よりも骨の位置が過伸展しているため、膝裏を通る神経を圧迫して刺激を与えてしまっている場合。
もしくは、膝の不安定性を無理やり制御しようと周囲の筋から痛みを出しているケースが考えられます。
この他にも、膝だけではなく、腰・股・足関節のアライメント(配列・関節位置)にも影響を深く及ぼすため様々な症状が生じるリスクがあります。
原因
- 靭帯が伸びてしまっている
- 腓腹筋の短縮
- 筋のインバランス
- 女性ホルモンの影響
靭帯が伸びてしまっている
先にも述べたACLが主に脛骨の前方への滑りを制御しています。膝を伸展する筋は主に大腿四頭筋ですが、この筋単独で働いた場合では、膝が伸びるといった円運動にならずに、脛骨が前方にスライドするように動いてしまいます。
この動きを制御するのがACLと、後程説明するハムストリングスです。
また、膝は伸展するときに脛骨の外旋を伴い、この外旋の動き及び、側方の動きを制御するのが、内側側副靭帯(MCL)と、外側側副靭帯(LCL)になります。
ACLも伸びて脛骨の前方の滑りが止まらない、MCL、LCLも伸びて外旋も制限できないとなれば、膝の伸展で最後にブレーキをかける組織は神経や、骨になってしまい、痛みが重度化することになります。
脛骨がぐらぐらの状態では、そこに筋の付着部をもつ大腿四頭筋といった大きな筋も力を発揮できなくなります。
筋力低下、あるいは過剰に働いてしまい、腱炎や、ジャンパー膝といったリスクにもなるでしょう。
腓腹筋の短縮
脳卒中などの忠誠の麻痺で良く見られる症状ですが、背の高いヒールを良く履く女性にも見られます。
腓腹筋の短縮により重心線が大きく膝の前方へ突出してしまい、自身の体重、荷重ストレスにより、反張膝となるケースです。肥満や、妊娠・整理中で女性ホルモンが豊富に分泌されている際は、より注意が必要でしょう。
反対に反張膝がこれらの症状を引き起こしたり、腓腹筋は延長されているが、単関節筋のヒラメ筋だけが短縮しているというケースもあり得ます。
ストレッチする場合は膝が過伸展にならないように支えを入れるか、軽度の屈曲位を作る必要があるでしょう。
筋のインバランス
ハムストリングスの筋力低下、大腿四頭筋の緊張が優位、あるいは短縮時に反張膝になりやすい場合があります。
良く見られるのは、バレーボール、バスケットボールなどのジャンプスポーツ。
過度の柔軟体操でハムストリングスを含める膝裏面の軟部組織をストレッチし、大腿四頭筋ばかり使っているバレエダンサーなどでもみられます。
膝の伸展はACLと、ハムストリングスで脛骨を関節面(後方)に引き寄せた状態で、大腿四頭筋が収縮することで、円運動が起こります。
このハムストリングスが圧倒的に弱く、大腿四頭筋だけが発達してしまった場合、筋のバランスが崩れてしまいます(インバランス)。
ジャンプスポーツや、背筋や足を伸ばしきるダンス競技では膝関節を守るために、大腿四頭筋とハムストリングスをバランスよくトレーニングする必要があります。柔軟性も同様に両面バランスよく行う必要があります。
筋肉とはテントを立てる際のワイヤー、綱引きのような関係性にあるので、どちらかが強い、弱いが極端になってしまうとバランスを崩してしまうのです。
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併発するリスク
- O脚、X脚に見える
- 腰痛のリスク
O脚、X脚に見える
この反張膝は曲げ伸ばしの運動軸だけではなく、O脚、X脚といった側方アライメントにも影響を及ぼします。
股関節が内旋位で膝が過伸展の反張膝である場合はO脚に
反対に股関節が外旋位で膝が過伸展の反張膝である場合はX脚に見えてしまいます。
どちらも関節が曲がっているので身長は低く見えてしまう可能性があります。つまり見た目的に、美容的にも良いとは言いくいかもしれません。
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腰痛のリスク
股関節の動きが制限されている場合、大腿直筋の短縮が起こりやすいです。
これにより、骨盤前景、腰椎は過度な前弯を強いられ、腰痛を誘発することがあります。
対処法
これまで説明してきた内容を悪化させないように対処法を考えてみます。
- 腓腹筋のストレッチを軽度の膝屈曲位で行う
- 大腿直筋のストレッチ
- ハムストリングスの強化運動
この3点がまず基本となるでしょう。
ここから膝の過伸展が入らないようにつま立てができるように、軽度屈曲位でハムストリングスと大腿四頭筋、下腿三頭筋の協調運動の練習をしていき、日常生活や、運動競技中も過伸展で荷重しない動作を学習していくことが重要になってきます。
伸びてしまった靭帯は元には戻らないので、重度の場合は筋のバランス調整だけでは不十分の場合もあります。
その場合には、膝のサポーターやテーピングにより膝の伸展を制限する必要があるかもしれません。
悪化しないうちから過伸展で荷重しないように気を付けるだけでも違うので、ぜひ心がけてみてください。
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